AA・TRPGの醍醐味“6の目クリティカル”について
ところで、目の前の障害が極めて危険かつ困難なものであるとして、GMがあまりに高い難易度を設定してしまった場合、プレイヤーキャラクターたちは判定において乱数の最大値である2D6の出目で“12(6面体サイコロの6と6)”を出したとしても必ず失敗してしまうという結果になります。ゲームシステムの製作者(私)は、それはテーブルトークのシステムとしてつまらないことだと考えました。どんなに難しい行為であっても、ほんのほんのごくわずかくらいには成功の可能性が残されてもよいのではないか、その可能性をゲームの面白さとして活かせないか、ということを考え、AA・TRPGではダイス目の乱数に出目以上の幅をもたせました。
 それが、AA・TRPGの醍醐味“6の目クリティカル”です。
 AA・TRPGでは、基本的に行為成否判定おけるダイス目において、ダイス目の最大値である6の目を出し続ける限り、ダイスを振り足して達成値を加算させていくことができる、というルールがあります。
 つまり、2D6で、“15”や“20”、あるいは天文学的なほどのわずかな可能性で“100”の目を出すことができるのです。たとえば、2D6を振ってその目が“6と4”だったとします。合計すると“10”ですが、このとき一つのダイス目が6を出しているので、プレイヤーはさらにダイスを一つ振り直して、その出目を加算させることができます。この振り足したダイスの目が、また6でした。プレイヤーはさらにさらにダイスを一つ振り直せます。今度の出目は3でした。これでようやくダイスの振り直しはなくなり、このとき、ダイスの乱数値の合計は“6+4+6+3”で19となります。これに行為成否判定に関連する【基本能力値】と【レベル】が加算され、達成値となります。

 AA・TRPGはこの“6の目クリティカル”によるダイス目の『ゆらぎ』を常に考慮に入れて、システムが構築されています。ランダム性が高いという特徴があることは否定できませんが、プレイヤーキャラクターたちに敵対するクリーチャーやGMが操る敵役のノンプレイヤーキャラクター側も、積極的にこの“6の目クリティカル”を採用してほしいと思います。そうでないと、プレイヤーキャラクター側が有利になりすぎ、敵側はまれに発生する達成値の大幅上昇がなくなり、その脅威はかなり薄らいでしまいますので。

 また、もろもろのダメージの算出における計算式でも、多くの場合、振るダイスの出目の最大値(D6なら6の目、D10なら10の目)はクリティカルヒットとして扱い、ダイスの振り足しが可能です。

 基本的にこのオリジナルRPGは、“6の目クリティカル”を含めた判定の成否を、GMとプレイヤーがたのしくやり取りしながら進めていきます。ですから、読者の方は詳しいルールの内容を知らなくても、大まかな概要だけを把握していればGMとプレイヤーとのやりとりの部分で楽しみが十分に伝わるのではないかと思います。
「このリプレイ、ルールがわからないからつまらない」ということがないよう、わかりにくい表現には注釈をつけ、実際のプレイ中には省略して語られていることや、専門的な用語なども、より意図が伝わりやすいな言葉に直しました。
それと同時に、実際のゲームでの勢いや雰囲気が崩れないようにも心がけ、なかなか説明しにくいファンタジーテーブルトークの面白さを伝えることができるようつとめました。
 今回はリプレイを書き起こすため、身近で規模の小さい、ほのぼのドタバタファンタジー(よくある和製ライトファンタジー)をテーマとしてGMは世界を構築しました。舞台は、剣と魔法のアルサーム世界の西の辺境(西アルサーム内陸部)です。
 どうか、敬遠せずにお読みいただき、リプレイの読後にAA・TRPGのルールにも興味をお持ちいただけたら、なお幸いです。


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