第一章:一触即発★自己紹介 ――紅蓮の幼女、生誕――


GM:では、ようやくはじめます。
カリス:いつでもいいっすよ。
GM:あーいや、やっぱりゲーム開始前に、最初はみんなそれぞれ簡単に自己紹介してください。プレイヤーキャラクターの名前もわからないや、こりゃいかん。
カリス:誰から?
GM:順番は適当に。じゃあここから、時計回りでよろしく。
ピエロ:俺からか。何いえばいいの?
GM:とりあえず基本能力値とHP・MPをメモするのでキャラクターシートを貸してください。自己紹介は、キャラクターの名前とクラスと性別と年齢あたりをよろしく。あと、簡単な性格付けとか特徴があればそれも。希望でもいいし。でもまあキャラクターの性格は、おいおいプレイ中に形作られていくから、最初は無理に決めないでも良いよ。
ピエロ:ええと、名前はピエロです。クラスはスカウト(斥候)。三十路の男。性格はええと、ピエロです(笑)。
ソニア:性格ピエロってなに(笑)?
ピエロ:ええと、見た目が、ド派手なピエロの衣装を着てます。特注品の衣装です(註:価格のみ10倍の、装甲値はクロースアーマと同様の服)。ピエロのかぶり者もしてまして、顔も白粉塗って唇を厚く紫に塗ってて……。
カリス:ピエロや(笑)。完全にピエロやこのヒト(笑)。
プリティー:さっそく色物キャラがきたか。
ウリ・ロー:三十路のおっさんがピエロの格好かぁ……。
ソニア:絶対に仲間にしたくないな、これは(笑)。こんなの絶対、スカウトに見えない。
GM:色物キャラだけど、まあ一人ならいいか……(受け取ったピエロのキャラクターシートを見ながら、基本能力値やHP・MPをメモしている)。んで、ピエロさん、本名は?
ピエロ:本名は……ええと…………秘密です(笑)。ピエロと呼んでください。私は道化〜。横笛とひとり曲芸が得意です。プリピロピ〜♪ フンババフンバー、フンバーフンバー♪
プリティー:ぜってコイツ仲間に出来ない(笑)。こんな変質者とは接点がもてない(笑)。
フェーン:俺たち、声をかけられても無視しよう。
ピエロ:そんなー。戦えますよ私。こう見えても武器はマン・ゴーシュ持ってます。鍵開けや罠解除も得意です。役に立ちますよー。所属していた劇団一座が解散してしまったので路頭に迷ってしまいました。齢三十を越えて、冒険者稼業への復帰に意欲を燃やし、皆さんと一緒にパーティーを組むことになりました。
プリティー:おじさん、三十過ぎてレベル1なのは悲しいわー。
GM:はい、ピエロありがとう。なんとか頑張ってみんなと仲間になってね。
ピエロ:ええ!? 今回はみんな最初からパーティー組んでるんじゃないの?
GM:今回は、まだみんなバラバラ。顔見知りプレイヤーたちばかりだからもうみんな(プレイヤー同士が)気心知れてるし、どうせならパーティー結成の過程もロールプレイしてみようという試みです。
ピエロ:まいったなあ。どうにかしてみんなの仲間にならないと。
プリティー:ピエロさん、あなたが私たちの仲間になる必殺技教えてあげようか?
ピエロ:必殺技? なにそれ?
プリティー:必殺技『土下座』(笑)。「この薄汚い道化めを下僕として使ってください」って言うの。所持金全部差し出して。
カリス:うわー。
フェーン:俺の靴を舐めてもいいぞ(笑)。
カリス:うわー。
フェーン:ついでに契約書も書いてもらう。『私は、腕がもげても足が千切れても文句を言いません』って。
プリティー:『万が一、命を落としても本望です』(笑)。
カリス:うわー。
ピエロ:おっとと、いやー……それらは断固拒否しますよ。私こう見えても常識人ですから。ふふん。
ウリ・ロー:なんかこのパーティー、方向性が怪しいぞ。変なのが一人と危ないのが二人いる(笑)。
GM:はい、んでは次の方どうぞ。
ソニア:(GMにキャラクターシートを渡しつつ)名前はソニア。人間の20歳の女でクラスはライトルーンマスター(神聖術士)。戦いの神リングソルトを信仰する修行僧だ。武器はライトメイス。修行の旅を続けてここまでやってきたけど、ついに金が尽きてもう3日も何も食べてない。
プリティー:え? このヒト、女?
ソニア:悪いかよ。女だよ。
プリティー:ブス?
ソニア:ブスじゃない。っていうかアンタ誰? はっ倒すよ。
プリティー:やーこのヒト怖ーい。きっとゴリ女(ゴリラのような女)よ。胸毛生えてるわ。怖ーい。
ソニア:はっ倒す。そこに直れ。
プリティー:知らなーい。だってまだこのゴリ女とは会ってないから。まあ、一生会うつもりも無いけど。
ソニア:どうやら貴様とは敵として会うことになりそうだな(ニヤリ)。
ウリ・ロー:まあまあ(笑)。まだ出会っても無いことだし。
カリス:出会う前から喧嘩できないっす。
ソニア:そうだな。あーそれにしても腹が減った。やっぱり一人旅はつまらんから仲間がほしいなあ。っていうか仲間がくれる飯がほしい(笑)。
ピエロ:ソニアって、保存食持ってないの?
ソニア:(胸を張って)持ってるわけが無い。所持金も銅貨4枚のみ。

 *銅貨(C)はゲーム世界における貨幣の一つ。銅貨一枚=約1000円相当の価値。他に金貨(G)(一枚=約10万円)、銀貨(S)(一枚=約1万円)、黒鉛貨(B)(一枚=約100円)がある。所持金銅貨4枚はかなり貧乏。

カリス:すげーチャレンジャーな旅の修行僧っすよ。
ソニア:武器、防具とホーリーシンボルにお金かけちゃったから、残金なくて餓死寸前(笑)。藁をもすがる思いで、(飯を分けてくれる)仲間を探している。
ピエロ:うら若い女性が困っているようですね。お遍路参りの修行僧さんにお布施を渡すのは徳を重ねることでもあります。私が食事をお分けしますよー。
ソニア:おお。それは感謝。怪しいピエロについて行く。あんた見た目はピエロで怪しいけどいい奴だよー。
プリティー:なんかすごい原始的な方法で釣られてるんだけど。
ウリ・ロー:悪徳商法にコロリとだまされそうだなあ(笑)。
GM:新手のナンパか、詐欺商法か?? こんなのに引っかかっちゃダメだよ(笑)。
ソニア:いいの。もしだまされてたら、実力行使ではっ倒すから。
カリス:破戒僧や(笑)。
ピエロ:いやいや、私は悪人じゃありませんから、大丈夫です。
ウリ・ロー:といいつつ、君の特技は盗賊行為(笑)。
ピエロ:密偵行為は得意ですが、普段から犯罪に手を染めてるわけではないのです。
GM:はいはい、まあ各キャラの出会いはまだ置いといて、次、プリティー……だっけ?
プリティー:(キャラクターシートへの書き込み作業を止め、とたんに甲高い声で)はい。プリティーでーす。
ソニア:名前がプリティー? 何なんだこの媚びた響きは。
フェーン:名前の響きにゲロの臭いがする(笑)。
カリス:なんか狙い過ぎてて痛々しいっす。
プリティー:(ソニアとフェーンとカリスを無視して)人間、女、精霊使い。得意技は炎の精霊魔法。薄幸の美少女でヒロインだからみんなは私を守るのよー。よろしくね! 身寄りのない戦災孤児で、生きていくために冒険者になる決意をしました。
ソニア:こいつも女なんだよなー。
プリティー:そうよー。アンタみたいなゴリ女と違って、正真正銘の美少女よー。
ソニア:だから私はゴリ女じゃない!
ピエロ:薄幸の美少女って、うそくせえー(笑)。
ウリ・ロー:炎の精霊魔法ってどんな呪文があるんだい?
プリティー:敵を燃やしたり焼いたり焙ったりできるわー。
カリス:それ全部一緒っす。
GM:炎系精霊魔法は、あとまあ、敵を火炙りにしたり黒焦げにしたり消し炭にしたりする呪文がそろっています。
カリス:だからそれも全部一緒っす。
プリティー:まあ要するに、誰にも負けない攻撃呪文のエキスパートってことよー(笑)。
カリス:だからそれ攻撃呪文ばっかやん!? 攻撃しか出来ないやん!? 攻撃だけだと困るやん(笑)!?
プリティー:だって私の呪文レベルだと使える呪文はほとんど攻撃呪文しかないわー。種類も悲しいくらい少ないわー。おまけに燃費が悪いのよね、精霊魔法って。一番弱い『火球(ファラ)』の呪文でも基本消費MPが10だって。熟練で軽減しても一回あたり6MPも使っちゃう。
カリス:なーんかプリティーさん、素直にメイジやってたほうが良かった気がするっす。攻撃魔法だけじゃあんまり役にたたな……。
プリティー:私を馬鹿にする奴はきっとすっきり焼き殺すわー。(カリスに向かって)あなた、それ以上口を滑らせてバーベキューになりたい?
カリス:おーい(笑)。
GM:えーと、名前が、プリティー……っと。プリティー、キャラクターシート貸してください。メモるので。あと性格とかどんな感じ?
プリティー:(何故かキャラクターシートをGMに提出するのをモジモジとためらいながら)性格ねー、性格はー……可憐? 可憐で薄幸な精霊使い。風と水と大地をこよなく愛するの。
カリス:あんた「炎」やー!
 一同爆笑。
ウリ・ロー:炎の精霊使いが風と水と大地をこよなく愛すのか(笑)。
カリス:「可憐」じゃなくて「紅蓮」って感じっすねー。炎の精霊使いだし。
ピエロ:おまけに、幸せが薄いと書く「薄幸」じゃなくて、光を発すると書く「発光」だったりして。
フェーン:「発狂」でもいいぞ(笑)。
プリティー:聞こえなーい。なんか外野が騒いでるわ。
ソニア:こいつ(プリティーのこと)、嘘つきだな。こいつこそ、仲間にしてはいけないキャラだ。
プリティー:ゴリ女の嫉妬は怖いわー。
ソニア:ちっ。こいつには絶対、回復呪文かけてやらないぞ。
プリティー:あーれー?? いいのかなー? あなたも夜の一人歩きには気をつけてね。突然体が自然発火するかもしれないからね(笑)。
カリス:こ、こええっすー。女の戦い(笑)。
ピエロ:漫画だときっと背景でバチバチ火花が散ってるね(笑)。
ウリ・ロー:ところできみ、美少女って、年いくつ?
プリティー:え? 年? ……ゅう歳。
一同:え?
プリティー:……ぅきゅう歳
GM:19歳?
プリティー:ううん……きゅう歳。
一同:9歳!?
プリティー:9歳(笑)。
GM:え? マジで9歳でやるの?
プリティー:マジですよー。
GM:あのさ、私、キャラの年齢低いと滅茶苦茶基本能力値が下がるって言ってたよね(註:年齢14歳以下のキャラクターは年齢に応じて基本能力値にマイナス修正が入ることになっている)。
プリティー:聞いたわー。ちゃんと減らしたわー。【筋力】と【生命力】を3減らして、【器用度】と【敏捷度】を2減らして、【知力】と【精神力】を1減らして……。
ピエロ:おいおい(笑)、それで生き残れるのかー!?
ソニア:(プリティーのキャラクターシートを覗き込みながら)あー、これ、9歳だからこんだけ能力値下がってるのか。
プリティー:そう。
ウリ・ロー:最大HPは?
プリティー:13(笑)。
カリス:低っ!(茶を噴き出す)
フェーン:まるで殺してくれと言っているようなキャラクターだ(笑)。
ウリ・ロー:装甲(物理防御)は?
プリティー:2よー(笑)。
ピエロ:俺と同じ紙だな(註:俺と同じく紙のように薄い装甲だな、の意)。
ソニア:ふっ、私のライトメイスでも、当たれば一撃で倒せるかもしれないな。
GM:一撃で死ぬかどうかはわからないけど、高い確率で戦闘不能に追い込めるね。
ソニア:ふーん、ふっふっふ。なるほどねえ……(怪しい笑みを浮かべ、シュッシュと素振りの練習をする)。
プリティー:あなた、なにやってんの?
ソニア:生意気な口を利くどこかの精霊使いを(ライトメイスで)折檻するための練習。
プリティー:このゴリ女(笑)、ドSな変態よー。みんなこのヒトには近づいちゃダメよー。
ウリ・ロー:(プリティーのキャラクターシートを覗き込み)こんなに金が余ってるのに、なぜ防具をそろえないんだ(笑)。
プリティー:だってー。精霊使いだから金属鎧は禁忌だし(註:一般に、土属性以外の精霊魔法は卑金属との相性が悪く、多くの精霊術士は金属鎧を装備することができない。厳密には、装備はできるが、精霊魔法の発動にペナルティを受けることになる)。そもそも【筋力】が足りないから。皮甲でできてるレザーアーマなんかでさえも、私には重くて着れないわー。
ウリ・ロー:【筋力】が1か(苦笑)。
プリティー:クロース(服)しか着れないから。今は精霊の加護を受けたダブレットを着てるの。
ウリ・ロー:それにしても、すごい所持金だ。
カリス:超金持ちっすね……(ゴクリ)。
プリティー:ダイス目爆発よー。D20で20がでたの。
ピエロ:プリティー、戦災孤児じゃなかったのか(笑)? どこで盗んだんだその金(笑)。
プリティー:ないしょよー(笑)。盗んでないわ。きっと心の優しいあしながおじさんたちが寄付してくれたのよー。
GM:ないない。この世界あしなが育英会ないない(笑)。
ピエロ:きっと、行く先々で詐欺をはたらいて集めたに違いない。
プリティー:あらーなんか、人聞きの悪いことが聞こえるわー。みんな喜んで寄付してくれたのに詐欺だなんて。変なうわさが流れる前にピエロさんの大きな口をふさがなきゃ。大きなお口をふさぐにはー♪ 先手必勝ね。遠くから攻撃すれば反撃は受けないわ。
ピエロ:この9歳児、怖いんですけど(笑)。
GM:本当に9歳のキャラクターでプレイするの? 極めて打たれ弱いし死にやすいと思うけど、いいの?
プリティー:いいわー。上等よー。バッチコーイ!
GM:(げー……これは、なんか間違いなく真っ先に死ぬキャラだな……レベル1じゃ、雑魚モンスターの攻撃でも一撃くらって死ぬかもしれないな……でも自業自得だから、いいか別に)わかったよ。なんとか頑張って生き残ってください。
プレイヤー:頑張るわー。
ピエロ:しかし、そもそも、我々がはたして9歳の女の子を冒険者の仲間として受け入れるかどうか、怪しいけどね。
プリティー:怪しいピエロにまで言われた。立つ瀬ないわー。よよよ。
ウリ・ロー:頑張って、仲間にはいれるよう努力してくれ。

GM:では、次です。サクサクいきましょう。戦士さんどうぞ。
カリス:えー、カリスです。人間、男、20歳。身長2mの大柄な戦士っす。よろしく(GMにキャラクターシートを渡す)。
GM:ありがとう。わりと、オーソドックスな戦士だよね?
カリス:そうっすね。普通っす。
プリティー:そういうしゃべり方なんだ?
カリス:あー、そうするっす。こういうしゃべり方でいきます。
ピエロ:なんかイメージが、体でかくて、でもどこかヌケてる感じ?
カリス:そうっすね。ヌケてる感じで。今回、普通にいい人キャラでいくっす。
プリティー:あんま威圧感ないなあ。いなかっぺ大将?
カリス:うーん、田舎から出てきて、力が強いので戦士目指して修行して……。
GM:そういう朴訥キャラと。でも、カリス、【筋力】7もあるのに、武器はエストックにしちゃったの? もっと強い武器あるのに。
カリス:武器が弱いのは、金がなかったからっすー。
GM:それでか。戦士で初期の所持金が少ないのはつらいねえ。
カリス:何気にソニア姉さんを笑えないっす。俺も貧乏っす。所持金、銅貨2枚。
ソニア:あはは。私より貧乏がいた(笑)。
プリティー:いい年こいた大人が、所持金2000円ねー。どうやって生きていくのかしら。
カリス:でも俺は少しは保存食も持っているっすよー。まだ餓死はしないっす。
プリティー:“まだ”ね。
カリス:う……うん。
ピエロ:地味キャラだね。
カリス:地味でいいっすよ。みんな(他のキャラが)アクが強いし。地味にツッコミキャラに徹するっす。
GM:頼みます。じゃああとは剣士二人かな。
フェーン:はい。名前はフェーン。人間、男、20歳。
GM:フェーン、ね(メモメモ)。性格は?
フェーン:特にまだ決めてない。
GM:あ、はい、さようですか。では、おいおい決めていきましょう。……えーと、なになに、武器はサーベル、鎧はヘビーレザーね。
フェーン:斬るのが好きで剣士に。
プリティー:危ない男(笑)。
ピエロ:何を斬るのが好きなんだ(笑)。
フェーン:ホントは人を斬りたいけど、とりあえずモンスターを。
ピエロ:なんて素直なキャラだ。
フェーン:全身真っ黒。黒ずくめにしよう。
カリス:怖えー(笑)。黒い剣士だよ。
ウリ・ロー:しかし彼が一番、見てくれは一般的な冒険者に近いかもしれないな。
GM:まあ確かに、冒険者なんていっても、要するにごくつぶしやならず者のようなもんだからね。実際はきっと。食い詰め浪人みたいなもんでしょ。
カリス:そんな身も蓋もない(笑)。
GM:でも、要するに暴力でトラブルを解決する専門集団だから、あまり世間の評判は良くないだろうね。
ウリ・ロー:この世界には、冒険者みたいな稼業は存在しないの?
GM:遺跡の残ってる辺境にはね、いますよ。自称冒険者たちも。でも、戦乱の世の中だから、多くは傭兵とか野武士みたいなシノギで飯を食っている。彼らは各地の独立州候とか、軍閥への離合集散を繰り返してるね。レベルが高くて志のある傭兵たちは「義侠団」や「師帥団」「○○小軍集団」などと呼ばれている。下克上で、王を名乗って独立する勢力もある。
カリス:しょーぐんしゅーだんってなんすか?
GM:たとえパーティー構成人数が5〜6人と少なくても、その戦闘力は一軍(四師編成1万6000名)を超えるという意味で、「小さな軍集団」と呼ばれます。まあ、いわゆる英雄様ご一行のことだね。
プリティー:ふーん。
GM:まあそんなわけで遺跡専門の冒険者は、少数派です。そもそも、あんまり「冒険者」という言葉は一般に使われていない。5〜6人で徒党を組んで秘境を探索するパーティーは、「フリーランサー」って呼ばれてる。
ピエロ:えー。少数派か。じゃ、ここいらへんは遺跡の残ってる辺境?
GM:妖精族の領域であるアルフガルド、妖魔の領域であるダーフガルドが西の絶界を越えたところに広がっているんで、どっちかっていうとここは辺境だね。西アルサーム大陸のさらに西部、内陸部が舞台です。
ピエロ:我々は、傭兵稼業で戦争に巻き込まれるのは嫌だから、平和的に遺跡探索をやっていこうと集まったメンバーなんだね。
ウリ・ロー:そういうことにしておこう。
GM:そういうことでよろしくお願いします。
プリティー:なんでか、そういう冒険者たちって、5〜6人で行動することが多いんだよね。
GM:まあ、テーブルトークで舞台となる世界だから。ほとんど3人〜6人くらいだよね。プレイヤー1人や2人はあんまりないし、7人以上は多すぎるし。
ピエロ:ゲームの仕様ということか(笑)。
GM:一応、世界観的な理由づけもありますです。フリーランサーのパーティー一行がなぜ大人数にならないのかというと、大人数に出来ないんですね。
ウリ・ロー:なぜ?
GM:これは世界設定としての縛りなんだけど、パーティーを組むときに、一般的にメンバー全員で仲間になった確認として“血友の契り(メスメイト・プロミス)”を結ぶんだよ。三国志の「桃園の誓い」みたいな、ちょっとした儀式だね。んで、その儀式で、メンバーの血を少量採って交換することで、互いの生物としての個人情報、遺伝子とか固体識別を登録するの。
ピエロ:なんかよくわからないな。
GM:ええと、簡単に言うと、互いに仲間の血を少しずつ交換して、「この血液(遺伝子)を持った相手は私の仲間だ」って認識できるのです。そうすると、結界呪文や広範囲にダメージを与える攻撃魔法なんかで、“血友の契り”を結んだ仲間を自動的、無意識的に対象に含めたり除外したり出来るようになる。プリティーがレベル上がって、広範囲攻撃呪文を唱えられるようになったときに、たとえ味方が自分の唱えた炎の呪文に包まれても、ダメージを受けなく出来る。ルール的には、「術者は、“血友の契り”を結んだ対象を、任意に『術者』として扱っても良い」というボーナスがつく。
ピエロ:それが?
GM:その結果、強力な排他結界が張り巡らされた遺跡にも、契りを結んだ仲間同士で入れるようになるし、軍勢を敵にまわしたとき砲撃なんかの広範囲攻撃に対しても、自動的に防御結界を仲間全員に張り巡らせることが出来る。術者自身のみに効果を及ぼす呪文や特技を、仲間全体で共有できる。
で、この“血友の契り”を共有できるメンバーには限りがあって、一人のキャラクターが登録できる契りは常に一つのコミュニティのみで、登録メンバーの合計数も、「(パーティー全員の【精神力】の平均値)+1」までなんだ。仲間として登録できる数に限りがあるから、よほど信頼できる人物同士でないと、普通は契りは結ばない。人数に限りがあるから、だいたい駆け出しのパーティーなら、4〜5名で構成されることになる、と。
ピエロ:ふーん。
GM:まあ、レベル低いうちはあんまり関係ないかな。でも、そういう契りという縛りがあって、どの冒険者も大人数では排他結界を越えて遺跡やダンジョンにもぐれない、大人数で侵入しても、契りからもれているメンバーは非常に脆く、防御面でか弱い存在としてトラップやモンスターの餌食になりやすい、ということだけ覚えといてくれればいいです。
一同:よくわからん……。
GM:すまない。蛇足だったね。話がそれすぎた。忘れて結構。じゃあ、最後、ウリさんだっけ? 自己紹介よろしく。
ウリ・ロー:ウリ・ロートです。ウリで区切って、ロート。ウリだとなんだか間抜けなのでウリ・ローと呼んでください。クラスは剣士。人間、男、21歳。武器は曲刀のフランベルジュ。
GM:おー、かなり強いねウリさんは。優秀なキャラがそろってるなあ、みなさん(メモメモ)。カリスもフェーンも強いけど、ウリさんのほうが武器が高価な分だけちょっと強いかな?
ウリ・ロー:所持金決定のダイス目が良かったのでね。食料にも少し余裕あるよ。
カリス:ウリ・ローさん、兄貴と呼ばせていただくっす。
フェーン:リーダー頼む。
ソニア:頼むウリ・ロー、その余裕のある食料を分けて(笑)。そうすればきっとあなたに神の加護が。
プリティー:なにこの女、私の未来の夫に近寄らないでー。しっし。
ウリ・ロー:性格は……うーん、このメンバーだと、これ以上色物キャラは増やせないので、わりとまともな性格でいこうかなあ……。
GM:お願いじまずー。もうウリ・ローさんだげがだよりでずー。ごれ以上色物キャラは勘弁じでぐださい(汗)。
ピエロ:GMが泣いている(笑)。
GM:じゃないとシナリオ崩壊まっしぐらっぽいので。そもそもみんな仲間になるのか心配。
カリス:せっかくキャラつくったのに、パーティー結成できなかったら悲劇っすよ。
ピエロ:その可能性、高いのかー?
カリス:あんたのせいでもあるっすよ(笑)。三十路ピエロさん。
ソニア:もう、まともなキャラクターだけでパーティーを組もうぜ(笑)。
プリティー:そうねー。パーティー組むのはわたしたちまともなキャラクターだけでいいわー。ねー、ウリ・ローさん(はあと)。
ソニア:ということは、9歳の子供はまともじゃないからいらない、と。なぁ、ウリ・ロー(同意を求めるようにガンをつける)!
ウリ・ロー:いやあ……うーん……これは困った。
カリス:ウリ・ロー兄貴、両手に花でうらやましいっすね。
ピエロ:両方、毒花っぽいけど。
カリス:きれいな花には、毒があるっすねー。
プリティー:私は9歳だけどゴリラ女よりマシ。人間だもん。あなた、そもそも人間じゃないんじゃなーい? 動物園に帰ったら?
ソニア:…………ぽい。(無言で、プリティーのキャラクターシート取り上げて、ゴミ箱に突っ込む)
プリティー:きゃああああーーーーー!!!!!! なんたることをーーーーーー!!!!!!
  一同爆笑。
ピエロ:プリティーがブラックホールに吸い込まれた(笑)。
ソニア:あー、あー、あれだほら、風。そよ風。私は何もしてなーい。きっと風のいたずら。
プリティー:ウリ・ローさーん、このゴリ女がわたしをいじめるのよーーーーー!! 助けてウリ・ロー兄さーーーーん!!
ウリ・ロー:いつ、俺が君の兄さんになったんだ(苦笑)。
プリティー:きっと生き別れになっていたのよ。ほらわたしたちこんなにそっくり。
ウリ・ロー:髪の毛の色も瞳の色も全然違うが……。
プリティー:同じ美形同士、兄妹になりましょー(懇願)。
ウリ・ロー:こ・と・わ・る(笑)。
ソニア:(ゴミ箱に向けて手を合わせ)南無南無南無……かわいそうに成仏してくれ。
  プリティー以外、爆笑。
プリティー:なにすんのよこのクソ尼ーーーおらおらおらおら!(ダイスをソニアに投げつける)
ウリ・ロー:……みんな、助け合いは大事だぞ(と言って、プリティーのキャラクターシートを拾い上げ、プレイヤーに戻す)。その辺で、内輪のけんかはやめるんだ。このGMのことだ、きっと過酷なシナリオが用意されてるに違いない。我々が力を合わせなければ、結果として皆が倒れることもありえる。一蓮托生で頑張ろうじゃないか。ソニアもプリティーも、二人とも我々には必要だ。
カリス:そうっすよ。正論っす。
ピエロ:俺も賛成。力を合わせましょう。ああー、ウリ・ローさん、リーダーっぽいなあ。
ソニア:わかった。ウリ・ローの言うことには従おう。でもなんか、キャラクターじゃなくてプレイヤーとしての発言っぽいなあ今の。
カリス:まだ出会ってないっすから、みんな。
GM:あはは。そっか、いざとなったらいきなりワンダリングモンスターでドラゴン(註:ドラゴンは高レベルの強力なクリーチャー)出して、全滅させればいいのか。超禁じ手っぽいけど、それもありかー(笑)??
カリス:おーい!!
ピエロ:そんなんだめー!! 絶対禁じ手!!
GM:中学のときは、よくそういう展開あったよね。久しぶりに……。
カリス:やらんでよろしい!
GM:ははは冗談冗談。リプレイにするつもりくらいだから、ちゃんとやりますよ。
ソニア:本当かよこのGM……。
ピエロ:頼むよマジで。
プリティー:みんな私を仲間にしてね。じゃないと暗殺者になって付け狙うから。
カリス:えー。
ウリ・ロー&GM:……はあ。大丈夫かな最初からこんなんで……。
カリス:兄貴とGMがため息ついてる(笑)。
ウリ・ロー&GM:……そりゃあ、ねえ(双方顔を見合わせ、苦笑)。

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