第二章:うららかな午後、街の広場で大騒動 ――紅蓮の幼女、蠢動――
GM:それではようやくようやく、ゲーム開始です。 カリス:やっとっすね。いよいよっすよー。 GM:今回は鉄火剣魔の幻想世界『アルサーム』世界の西方に広がる豊穣の大地、いわゆる西アルサーム大陸が舞台になります。 ソニア:本編の長期キャンペーンでなじみ深いとこだよね? カリス:そうっすね。あなた(ソニアのプレイヤー)が治める国っすよ。 ソニア:そういやそんなこともあったなあ。 プリティー:ああ、『パロ』の国ね。 GM:まあ、本編ではいろいろとなじみ深い土地だったけど、今回のセッションでは時代が違うから。 ピエロ:あんまり気にしなくていいよね。 GM:はい。結構です。んで、君らは最初、その西アルサーム大陸の中でも西の果ての内陸部に位置する『ラーフ』っていう名前の州都にいます。 ウリ・ロー:どういう世界観なの? 西アルサームって。 GM:この時代、西アルサームは名目上、『リオ王国』という国が統治しているんだけど、その支配力は地に落ち、各地で内戦が続いている混沌期となってます。ええと後漢末期の中国大陸や、室町幕府が没落した応仁の乱以降の日本の戦国時代のような感じ。今のリオ王国の支配力はさながら阪神タイガースやダイエーホークスのように弱いから、有力な諸侯が各地で軍閥を形成し、群雄割拠しているね。 *2007年註釈:リプレイ作成当時、阪神とダイエー(現ソフトバンク)は暗黒時代真っ只中で、弱かったのです。 ピエロ:戦争は嫌ですねえ。 GM:内戦は、どちらかというと西アルサームでも東方の『月の内海』周辺で盛ん。こちらの内陸部では、実はそんなに戦いは激しくなくて、どことなく牧歌的な雰囲気を残してるね。特にラーフ周辺は平和ボケっていうわけじゃないけど奇妙に平穏な社会情勢。街の多くの住民が、東方の戦火は遠いことだと思ってる。 ソニア:ラーフって街の特徴は? GM:ラーフの街は、内陸部で一大勢力を張る独立州侯ラーフの州都なんだ。開明的な君主(州侯)のもと、商工農業と文化交流に力を入れていて、今時珍しい自由都市の様相を呈してる。 ソニア:ほう、自由都市。 GM:うん。楽市楽座が奨励されていて、物を売ったり買ったりは自由で税金もかからない。どんな旅人にも門は開かれていて、周辺からワケアリの多くの罪人やならず者が集まってる。危険も多いけど、街の中の治安は不思議と保たれてて、非常に活気のある街だね。現在では西アルサーム唯一といってもいい大きな自由都市かな。(モデルはマムシの斉藤道三治める美濃の国(岐阜県)となっています) ソニア:なぜかそういう自由都市からいつも話は始まるんだよね。 GM:うん。それはというとね、そういう自由都市とかのほうが、冒険者たちが気軽に集まりやすい土地だからね。 ピエロ:そうじゃないと困るよな。 GM:でしょ。で、ラーフ州はもともとリオ王国の従属州侯だったんだけど、この十数年は宗主国リオの支配力が弱まって、ほとんど独立国家みたいになってる。ただ、国としての独立宣言はされてないので、いまだにラーフの君主は、形の上ではリオの配下の一州侯となっている。ああ、「州候」ってのは、その州邦のトップ、いわゆる県知事とか守護大名みたいなものね。 プリティー:独立しないんだ。 GM:独立しないほうが、都合がいいんだよ。無用な争いを避けてるんだね。ちなみにラーフの州侯は「変人」と呼ばれる魔術師なんだけど、政治家としても軍人としても優秀で、民衆の人気は高い。一応、本国リオには、今でも形だけは臣下の礼をとってるみたい。 ソニア:あれ? 私の国『パロ』は? GM:きみ(ソニアではなく、ソニアのプレイヤー)が主人公キャラを演じてる本編のキャンペーンのこと? パロ王国は、まだこの時代には成立してないんだ。西アルサームはこの時代混沌としていて大陸統一国家の成立に向けた機運はまだ高まっていない。小国乱立時代です。やがて別世界の君が演じるキャラクターが、西アルサーム大陸全土を統一し、大陸間戦争と世界の危機に立ち向かうことになります。 ソニア:あ、そう。じゃあ本編は、未来の話なんだ。 GM:そうです。よそでやってる本編キャンペーンは、このリプレイ用セッションよりも後の時代の話です。でもまあそんなに年代変わらんけど。 カリス:はいはい(パンパンと手をたたく)、その辺で関係のない本編の話は終わりにしましょう。 GM:いかんいかんごめん。GM自身が脱線してしまった。 プリティー:はーい、質問があるわー。ラーフの州侯って、かっこいい? 若い? GM:え? 州侯? 州侯かー。えーと……いや、白髪ぼさぼさの中年のおっさん。見た目は冴えない、らしい。君らはよく見たことはない。 プリティー:あっそ。じゃあ、興味なしよー。 ウリ・ロー:なんなんだこの9歳児(笑)。 ピエロ:街の大きさってどれくらい? GM:ラーフの州都の人口は、20万人くらいかな。 カリス:でかっ!! 巨大都市じゃないっすか!! GM:だからでかいんだって。内陸部では最大規模だね。ラーフ州全土で、日本の本州くらい面積あるんだけど、人が住んでる地域は限られていて、それでも衛星都市や農村部全てを合計すると全部で200万人くらい人口いる。 カリス:近代国家っすよー。 ウリ・ロー:なんかイメージが違うな。もっと田舎かと思ってた。 GM:一応、西アルサーム内陸部は辺境ではあるけどね。その辺境の中でも、一番の都会にいると(笑)。 ウリ・ロー:微妙だなあ(笑)。 GM:州内の人口200万だと、機動運用できる動員兵力は約4万騎ほどだね。ラーフは本国リオよりも兵農分離が進んでいるから、年間通しての運用が可能。質より量の統制のとれた精強な州侯軍を擁してる。 ピエロ:いやGM、それ、「量より質」でしょ(笑)。 GM:げ。間違えた。量より質、量より質(笑)。 カリス:GM、よく言い間違えるっすね。 ピエロ:この人の仕様だから(笑)。 ソニア:この世界、人間多くない? GM:うーん、基本的にアルサームは人間優位の世界なので。その代わり人間の勢力圏はアルサーム境の外側には及ばない。ラーフの街は、まあ、イメージ的には中国の古代の都市を思い浮かべてほしいかな。広大な荒野に、ぽかりと巨大な城塞が構築されてると。ま、古代に滅亡した先史遺失都市の跡地を利用して人が住み始めたのが街のはじまり。こういう他文明の遺失都市や遺跡を再利用して都市がつくられた国や州はかなり多い。 ウリ・ロー:ところで、この国の――なんだっけ? 上の国。リオ? だっけ? の首都はどこなの? GM:ええーーー(しばし頭を整理して考える)、っとおー、まず、西アルサームって扇みたいな形をした大陸で、その東方には南北に伸びる『月の内海』と呼ばれる内陸海があるの。その『月の内海』の東側の沿岸部にこの国の王都リオはあります。王都は相次ぐ内乱で疲弊して人口は30万余。リオという国の名前と王都の名前は一緒だね。 ピエロ:別にこの話メモしなくてもいいよなぁ。 GM:別にメモしなくていいよ。で、月の内海は前長3000kmにもおよぶ縦長の内陸海で、そこら辺一帯は内海地方とよばれている。そこに連なる諸都市、諸州侯は豊かで華やかな文化圏を形成していて、海運を利用した交易も盛んだった。でも内乱・内戦が最も激しいのがこの地域で、今では血で血を洗う抗争が続けられる、腹背常ならぬ動乱の地となってる。それに対してラーフ周辺は内陸地方と呼ばれていて、内海地方と比べると幾分交通手段の発達や経済の確立が遅れている、田舎な独立州侯が多い。ラーフは新進気鋭の自由都市だけど、この地方全体としては文化レベルはかなり下がってしまうね。 ピエロ:じゃあ、方言使わなきゃね。「なんとかだべー」みたいな(笑)。 GM:そりゃまあ、都会(内海地方)に行ったら君らの言葉はそう聞こえるんだろうけれど、それはいいよ、使わなくて(笑)。ラーフは内陸地方の中でもっとも先進的な巨大自由都市だから。 ピエロ:じゃあ、俺、都会(内海地方)から流れてきたことにしようっと。流れ者で。それで、みんなを馬鹿にする(笑)。 プリティー:でも、この街が地元の人からしたら、ピエロの話す言葉のほうが逆に「なんとかだべー」に聞こえちゃうんじゃない(笑)? 『なんだよアイツ、都会から来たんじゃなかったのかよー』とか呆れられて、『(なまり言葉で)いんやその辺ではオラの街が一番都会だったんだあ』とか言っちゃってるの(笑)。 一同笑。 GM:んでは、時にアルサーム暦651年のことです。 ピエロ:わかんねえよ。そんなこと(笑)。 GM:いいんだよ。プレイにはあんまり関係ないから。この時期の西アルサームは宗主国リオの権威が地に落ち、焦土戦争と呼ばれる各独立州侯同士の戦いが続いている。内戦は特に大陸東方で盛んで、そんな中、君らは西アルサームで比較的穏やかな情勢を保っている内陸部で、独立不羈を貫いている新進気鋭の自由都市ラーフに集まった若者……たち……だっけ?? プリティー:若者でーす! GM:若者であります。 ソニア:(年齢が)私21。 フェーン:20。 ピエロ:31。 ウリ・ロー:21。 プリティー:9。 カリス:はたち。 GM:4人がはたち前後かあ。若いね。 ソニア:プレイヤーの年齢とほぼ一緒と言うことで。 ウリ・ロー:なんか一人、違和感があったぞ(プリティーのこと)(笑)。 プリティー:みんなに紛れて言ったからわからないと思ったのに(笑)。 GM:そんで、諸侯同士がたびたび争い合ってる中で治安が悪くなってて、普通の傭兵なんかだと稼ぎ時なんだけど、君らは軍隊に入ったり戦争に加担したりするのが嫌で、平和的な冒険者として生きていこうと決意して、比較的平和なこの西のラーフまでやってきました。偶然、同じ時期に同じ場所に、仲間を集めようという同じ目的をもった若者が居合わせることになったんですね。で、皆さん今までの旅の過程で、もうお金はありません。 カリス:金ねえっすー。冒険仲間をさがして仕事もさがすっすよー。 GM:そういうシチュエーションが整っていると(笑)。 ソニア:もう3日も何も食べてないよー(泣)。 GM:それって普通に飢餓状態なんだけど(笑)。【生命力】日数分連続して食事を取れなかった場合、最大HP減少のチェックをさせるよ(笑)。 ソニア:えええ?? なにそれ!? GM:今考えたルール。飢餓状態になったキャラクターは、【生命力】日数は我慢できるけど、それ以上の空腹は、生命抵抗に失敗すると最大HPが D6ずつ減っていきます(笑)。 ソニア:えーーーー!? 私、【生命力】4なんだけど!! カリス:じゃあ、あと一日っすね。 プリティー:わーい。この人、あと一日食べれなかったら、最大HPがD6減るわー(楽しそうに)。 ソニア:ちょっと冗談じゃない(笑)。ふらふらと街を歩いている。「あー、はらがー。腹が減ったー」ふらふら。いかーん。ようやく街に着いたからとりあえず腹を満たさないと。 ピエロ:あのね、俺、ラーフの街の広場で、笛を吹いてます。そんで一人曲芸を披露。観客から、銅貨を投げてもらうのを期待して。 GM:え? 曲芸して笛吹いてるの? ピエロが? ピエロ:そう。長らくそうして生活してきたから。 GM:なるほど。芸で生活費を稼ぐと。なるべく人通りの多いところでやってるんだよね? ピエロ:もちろん。人の多いところで、にぎやかにやります。 GM:うーっと。笛を吹くのはどうしようかな。【知力】で判定してもらおうかな? ソニア:笛吹くのは【器用度】判定じゃない? ピエロ:(【知力】よりも【器用度】が高いので)当然、【器用度】でしょう!! GM:どっちだと思う? ソニア:【知力】は関係ないでしょう。この際は。 GM:はい、【器用度】。ピエロさん、【器用度】で行為成否判定の達成値求めてください。最低限の成功難易度は15。 ピエロ:(ダイスを振る)おお! クリティカルした! でも、6・1・1だから、8。【器用度】6でレベル1だから……ちょうど15! GM:お、ぴったりだ。最低限、観客を楽しませる芸は披露できてたみたい(笑)。そうするとね、(ダイスを振る)総額で銅貨が6枚分、チャリチャリチャリーーーっと観客から放り込まれる。 ピエロ:ふいー。みんなありがとーう。あぶねーギリギリだった。うう、これで今日の生活費が手に入った(笑)。 プリティー:この人も結構サバイバルな生活ね(笑)。 ウリ・ロー:じゃあ、その場面に偶然俺が通りかかっていいかな? GM:いいよ。なんか、ウリ・ローが広場を歩いていると、ピエロの格好をしたおっさんが笛と曲芸を披露して、観衆からほそぼそと拍手喝采されている。 カリス:「ほそぼそ」となのに拍手「喝采」なの? GM:……ほそぼそと拍手されてる。結構マンネリ化した芸なのか、それほど反応は良くないけれど、見物客からはチャリチャリと、黒鉛貨が投げ込まれ、総額で銅貨5〜6枚ぶんくらいになってるね。 プリティー:(突然に会話に乱入し)私、お金のかわりに石投げるわー。わーい(笑)。 一同爆笑。 GM:お前、(この場に)いるって言ってないやんけ(笑)。 プリティー:行く行く行ーくー! 公園にいるいるいーるー! GM:射撃。 プリティー:へ? GM:プリティーが石を投げる場合は、射撃判定にて行為成否判定を行います。要するに、通常の【器用度】判定です。 ピエロ:射撃判定?? ダイスを振らせるのか?(ピエロは自分に石を投げられたと思っている) GM:プリティーは(お金のかわりに石を)投げるんだよね? プリティー:うん(ダイスを振る)。 GM:(達成値は)いくつかな? プリティー:(あまり良い目が出ていない故)ねえGM、1の出目は振り足し? *註:振り足しは6の出目です。 カリス:1は無理でしょう。スカウト(斥候)のダメージ計算時のみクリティカルっす。 GM:クリティカルするのは6だって(笑)。 プリティー:うーん、低いわー。 ピエロ:くっそ、石投げられた。じゃ、俺、回避する! プリティー:え? 違う違う。私、アナタに投げたんじゃないわ。お金を入れるところに石を投げたんだよ。 ピエロ:え? ああ、そうか。そうか。 プリティー:(ピエロの勘違いにかなり爆笑している)あははあは!! 笛吹いて曲芸してる人に石を投げるなんて、それってただのいじめっ子じゃん(笑)。 一同笑。 GM:お金を入れるところに投げるんだよね。遠くからだけど、対象は動かないから、難易度は10。 プリティー:(ぼそりと)……いかない。(射撃達成値8だった) GM:じゃあ、君の投げた石はあさっての方向に飛んでいった。 カリス:ひゅーん。 プリティー:あ、はいらなかった(笑)。 ウリ・ロー:じゃあ、俺はちゃんと、銅貨をいれてあげるよ。「なかなか良い音色だ」チャロイーン、1枚。 ピエロ:え? ほんとに? やったー。ありがとう剣士さん。 カリス:真面目な人だ。 GM:ウリ・ローは、この曲芸してるピエロが、目立たないように実はマン・ゴーシュで武装しているのに気づく。その他にも、荷物がサバイバル生活を想定した冒険者用の必需品ばかりだね。 ウリ・ロー:ほう。このピエロは、本業は冒険者かもしれないと思うわけだね。 GM:はい。なかなかすばやい身のこなしで、どうも本業はスカウト(斥候)っぽい気が……。 プリティー:(突然会話に乱入して)ねーねー、じゃ、私、ピエロの笛にハーモニカで対抗する! すぐ近くの空き地で! 「(ピエロの)客とってやるわー!! 私のほうがセンセーショナルよ!!」 一同大爆笑。 カリス:(ひときわ笑い転げながら、おもしろすぎて)死ぬー(爆)!! GM:(同じく笑いながら)あー、乱入、するのね(笑)。ピエロの邪魔するのね。 プリティー:邪魔するわー(笑)。 ピエロ:ちょっとちょっと! 俺の大事なシノギを邪魔しないでー。っていうか、なんでこの子(プリティー)、ハーモニカなんて持ってんの?? プリティー:持ってることにするの! 買ったのよー! ピエロ:俺はちゃんと金払って、横笛買ってるんです。ダメですよー。ねえ、GM? GM:え? いいんじゃない? 面白いから(笑)。 ピエロ:おいおい(笑)。みんな、ダメだろこれは(と同意を求める)。 カリス:いや、いいんじゃないっすか? ソニア:ありだろ。 ウリ・ロー:これもまた試練だ(笑)。 ピエロ:えー。俺、ちゃんと金払って笛買ったのにー。 プリティー:はいはい、ピエロさん、お金払って笛買ったんでちゅねー。わかりまちたー。わたちもちゃんとお金払ってハーモニカ買いまちゅよー(笑)。 ピエロ:く……くっ! プリティー:はーい、ピエロさんの笛の倍のお金払ってハーモニカ買いまーす。買ってたことでいいよね? カリス:倍(笑)! すげえ。 GM:いいですよ(面白いから)。んじゃあ銀貨6枚減らして。超高品質なハーモニカを買っていたということで。【器用度】とレベルと2D6です(器用度による行為成否判定のこと)。 プリティー:やっばーい。器用度低い! 3しかないー! ピエロ:ざまあ(笑)。俺の客は、とらせん! プリティー:うりゃー(ダイスを振る)ダイス目が爆発だー!(出目は11) 一同爆笑。 カリス:なんすかその出目はー(爆笑)。 ウリ・ロー:うお、すげー。15は確実だ(出目11+【器用度】3+レベル1=15)。絶対ピエロ以上いく! プリティー:(クリティカルしたダイスをさらに振り直す)うっしゃーー!!(さらにその出目が6を出した。連続してクリティカルしてしまったのだ) (プリティーのダイス目を見て)一同大爆笑。 フェーン:なんだこれは。 ソニア:ここで運使い果たしてるよー(笑)。 ピエロ:あ、あああああ……。 プリティー:ねえGM、私、ダブレット着てるけど、戦災孤児に見えるように、わざとみすぼらしい服装にしてるから。つぎはぎの上着はおったりして。貧乏そうな身なりをしてるの。 ウリ・ロー:ちょっ(笑)、計算高(笑)! プリティー:それでもって薄幸の美少女っていう容姿だから、その設定で達成値にボーナス修正つかいない? GM:うーん、それだと、かなり観客の反応は良いだろうね。非常に、絵的に美しいシチュエーションだ。どこかの胡散臭いピエロが演じている曲芸よりも、ずっと視聴率稼げそうだ(笑)。 カリス:テレビの企画かい(ツッコミ)! GM:今回に限り、特別に達成値に+4のプラス修正加えて良いよ。 ピエロ:ぶぷー(飲んでいたジュースを噴出す)! な、なんだよそれー!? 差別じゃねーかー! カリス:ノンノン、差別じゃなくて、これは区別です(笑)。 ピエロ:あ、ああー。はじめたばかりのセッションなのに、いきなりキャラクターシートが(ジュースで)汚れたー(泣)。 プリティー:おーほっほっほ! 哀れね! 身の程を知るのよピエロさん(笑)! 結局、【器用度】3のプリティーは、ダイス目を爆発させることによって、達成値28という驚異的な数字をたたき出したのであった。 カリス:これは、間違いなく客とりまくりー(笑)! ピエロ:うわー……全然かなわない! GM:すごいねーこれは。これは、何故か運よく、すさまじく感動的で情熱的なハーモニカの演奏だった。 カリス:みずほらしくてかわいい戦災孤児が、平和を祈る、情熱的な演奏をしたっす。 ウリ・ロー:悲しみのこもった、しかし狂ったように激しい曲調で(笑)。 プリティー:はあっ、はあっ、さすがに疲れたわーー。ぺこり(と観客に頭を下げる)。おひねりプリーズ! GM:(ダイスを振る)総額で、銀貨3枚+銅貨8枚分のおひねりが、「あっあっー、この子すごいわー!」って投げられるよ。 カリス:まるで長渕剛ばりのハーモニカで(笑)。 ピエロ:あのー……俺の周りにいた観客は? GM:当然、みんないなくなっちゃった(笑)。みんな、あっという間にプリティーの周りに集まって行っちゃったから。 ピエロ:あ、あうおー(泣)。 GM:「おー、あんなに小さな女の子が、すばらしいハーモニカの演奏をしている! まさに鬼気迫る芸術だ!」とかいって、広場の群集はプリティーの周りに集まって、黒鉛貨だけでなく銅貨や銀貨までも投げ込まれる。 カリス:しかも長渕ばり(笑)。 プリティー:やったー。まあこの程度のお金、おやつ代くらいにしかならないけど(笑)。 ソニア:…………(自らの所持金欄をじっと見つめる)。 カリス:…………(ゴクリ)。 GM:ピエロの周りには、さっき銅貨を投げ入れてくれたウリ・ロー一人しか残ってないよ(笑)。 ウリ・ロー:(暗く沈んでいるピエロにやさしく語りかけ)まあ、あれだ。あんまり気を落とすなよ(と肩をぽんとたたく)。 ピエロ:う……うう……。ありがとう、どこぞの剣士さん……。 プリティー:じゃあ、その様子を見て、ピエロの方を向いて「ニヤッ」っと笑う。 一同爆笑。 カリス:か、確信犯や! こいつ確信犯っすよー! ソニア:ひでえ(笑)。 GM:プリティー、少なくとも今日一日は、リッチな生活を送れるね。悠々自適(笑)。 プリティー:やったわー。酒場に行って何かうまいものが食べられるわー。 カリス:9歳児が酒場かよ(笑)。 ソニア:普通は入れないよ(笑)。 プリティー:あ、そうだ、演奏が終わったら、まずピエロのところに行く。 ピエロ:え? 俺のところ? なに? プリティー:「ピエロさん、あなたも上手だったわよ」って、銅貨を一枚あげる。 一同笑。 カリス:ちょー嫌なやつっすー(笑)。 GM:ピエロは、ハーモニカを吹いて君から客を奪った9歳くらいの女の子に銅貨を一枚恵んでもらう(笑)。 ピエロ:そ、そんなん、もらわねえよ。返す。 プリティー:「あら? いらないの? あなたも困っているんでしょう? お金に」って(笑)。 ピエロ:…………何も言えないよ。戦災孤児みたいな女の子に、三十路の大人が恵んでもらうなんて……。 一同爆笑。 GM:そうだよなあ(笑)。女の子相手に、怒るわけにもいかないしなあ(爆笑)。 カリス:三十路のプライドどこへ行く〜(笑)。 プリティー:「ピエロさん、困ったときはお互い様よ」 カリス:こんなこともあるっすよ、ブラザー。 ピエロ:めらめらと、プリティーに対抗心を燃やします。 GM:すると、プリティーの観客だった一人の町の人がね、「お嬢ちゃん……」って声をかけてくる。 プリティー:なに〜? GM:髭面の大柄なおっさんが、「このラーフの街はまだ戦乱に巻き込まれてないから安全だよ」って。 プリティー:「ほんとに安全?」 GM:「もちろんだとも。お嬢ちゃんかわいそうに。戦災を避けてここまで逃げてきたんだね。おじちゃんの家で今日は夕飯を食べていかないかい?」って言われるよ。 プリティー:「ありがとうおじちゃん!」 カリス:うわー、怪しいっすーーー! ソニア:怪しいなこのおっさん。 ピエロ:幼女誘拐だな(笑)。 GM:マジでついて行きますか? プリティー:えーっと、このおじちゃん、怪しいかな? GM:うーん、わかんない。いや、【知力】による行為成否判定ですな。《表社会知識》か《裏社会知識》の技能をどっちか持ってたら、通常の知力判定でいいよ。 プリティー:両方持ってないわ。 GM:では、制限知力判定。レベルが足せなくて、ダイス目がクリティカルしない。 プリティー:(ダイスを振る)「おじさん、私は高いわよ」(笑)。 カリス:違う違う! こんなん9歳児の発言じゃないっす(笑)! プリティー:こう見えても私【知力】は高いのよー。 プリティーは知力判定に成功。 GM:うーんと、別にこのおっさんは怪しそうじゃないと思う。見た目は熊みたいだけど、純粋に好意で君を保護してくれるみたい。 プリティー:あ? ほんと? じゃ、食べに行く。「いただきまーす」おじさんいい人。 GM:「おじちゃんはこうみえても、ラーフの町で大きな宿屋兼酒場を営んでるんだよ。今夜はうちに泊まって、明日、州の役場にお嬢ちゃんの保護を頼みに行こうね」 プリティー:え?? 役場に保護?? うっそ、それは困るわー(笑)。 GM:「じゃあ、教会が運営してる孤児院に入れてもらおうね」 プリティー:そんなのいーやーー(笑)! おじさん私は冒険者として生きていくのよーー! カリス:そして、プリティーさんは酒場のおっさんにずるずると引きずられていくと(笑)。 プリティー:あーーーれーーー。 ソニア:あーあー。それにしても私、3日も何も食べてない。とりあえずどこかで飯を食おう(笑)。 ウリ・ロー:しかし、大丈夫かな? あの女の子(プリティーのこと)。 カリス:大丈夫でしょう(何の根拠もないのにきっぱりと)。 ピエロ:私よりしっかりしている。 ウリ・ロー:っていうか、きみ(カリスのこと)、なんか普通にしゃべっているけど、もうこの場にいるの? カリス:あ、ははは。偶然、遠くから(広場でのピエロとプリティーの芸の争いを)見ていたって事で(笑)。 ウリ・ロー:ふーん。声はかけてこないのね。 カリス:うっす。あー、でも、二人(ウリ・ローとピエロ)のやり取りも聞いていて、二人が飲みに行く先に、オイラもついて行くっす。 プリティー:なにこのデカブツストーカー(笑)。ウリ・ローさんに惚れてるのかしら(笑)? フェーン:ストーカーだな。立派な犯罪者だ。 GM:見ず知らずの男たちの後を尾行してついて行くなんて、変だな(笑)。 ピエロ:ホモのストーカーですか? まあ、性癖は人それぞれですからね。 カリス:いや、ホモじゃあないっす(汗)。 プリティー:じゃあ何でウリ・ローさんについていくのよー! 興味があるんでしょう? カリス:興味はあるっすが、それは冒険の仲間になってくれるかもしれないという意味で興味あるっす(超焦っている)。 ソニア:怪しい(笑)。 カリス:人見知りなんで声をかけられなかったっすよー。田舎もんだし。ラーフで冒険の仲間見つけたいっすー。なんか、広場でのやり取り聞いててこの人(ウリ・ロー)、剣士っぽいしいい人そうだったから……。 プリティー:ストーカーと(笑)。 フェーン:俺も酒場に行く。 ソニア:私も、飯が食えるとこ。 GM:君たちは遺跡あらしの冒険者希望だから、普通の酒場より、フリーランサー専門の斡旋所兼旅館だね。行くようなとこは。 カリス:そうっすね。 GM:ラーフの州都には、いくつかの大きい冒険者斡旋所兼宿屋がある。 ウリ・ロー:俺とピエロは、広場でもう出会ってるから。ちょっと世間話をして、ピエロが旅の仲間になってくれるかもしれないと思って、飲みに誘う。(落ち込んでいるピエロに)「アンタも苦労してるようだな。今日は、一緒に飲もう」 ピエロ:「ううう……私って、才能ないのかな……うう(泣)」 ウリ・ロー:「人生いろいろあるさ」で、二人で酒場に行って飲むから。 ソニア:(何気にダイスを振って)二番目にしよう。 カリス:二番目? ソニア:この街で、二番目に大きな冒険者の店に行く。 GM:二番目ぇー? えーっと、(適当に)「赤ひつじ亭」だね。 ソニア:じゃ、その赤ひつじ亭にふらふらと吸い込まれてく。「ああーいいにおいー。おまけにここ、冒険者の宿じゃなーい」(ドドドと駆け込む)。 フェーン:じゃ、俺も。 ソニア:へっ? フェーン:俺も、まったく偶然、その酒場にいる。 GM:なるほど、まったく偶然に居合わせると。別々の客としてだよね。 フェーン:そう。まだ知り合ってないから。 GM:じゃあ、そういうことで。フェーンは、たまたま最初から赤ひつじ亭に立ち寄っていた。一人で、カウンターに座っていた。 フェーン:そう。これから無理やり仲間になるから。 ピエロ:強制的に(笑)? フェーン:そう、いざとなったら剣で脅して。「俺を仲間にしろ」オラオラって(笑)。 カリス:こええー(笑)。 ウリ・ロー:じゃあ、俺たち(ウリ・ロー+ピエロ)もそこに行って飲むから。 GM:赤ひつじ亭に(笑)? じゃあ、カリスは? カリス:当然、こそこそ隠れて後をついてったから、しばらくしてから、こっそり店に入っていくっす。 プリティー:カリスって、身長2m超えてるんでしょ? 尾行なんて目立ちすぎて無理なんじゃなーい(笑)? カリス:あー……うー……。 GM:尾行か。カリス、【敏捷度】による制限判定。《屋内斥候》か《屋外斥候》持ってれば通常の行為成否判定してもよいよ。 カリス:だ、ダイスを振らせるのかー(笑)? GM:まあ、別に危害を加えるつもりないならバレても大きな問題にはならないでしょ。(カリスの)尾行に気づくかどうか、ウリ・ローとピエロは【精神力】による感知判定。 ウリ・ロー&ピエロ:うーい了解(二人ともダイスを振る)。 GM:あー、ただし、カリスは体がでかくて目立つから、達成値に−2の修正を受けます。 カリス:あうー……これ多分バレバレっすー。 判定の結果、カリスの尾行はウリ・ローとピエロにバレバレだった。 ウリ・ロー:じゃあ、最初からデカイ戦士がこそこそと後をついてきてたのは知っていたのね。 GM:そういうこと(笑)。でもなんか、明らかに挙動不審だけど敵意を感じなかったから、スルーしてたと。 カリス:うーん、じゃあ、オイラも(尾行がばれていないつもりで)赤ひつじ亭にはいっていくっす。 GM:了解。じゃ、お嬢ちゃん(プリティー)の方も、しばらくすると、髭面のおっさんに赤ひつじの看板の掲げられた酒場に連れて行かれる。1階が酒場で、地下が仕事の斡旋所、2階3階が宿泊場所になってて、騎獣用の馬屋も完備されている大きな建物だね。 プリティー:「おじちゃんすごーい」 GM:(優しそうな機嫌の良い声で)「お嬢ちゃん、おじちゃんは州侯様の許可を得て、この店を切り盛りしているんだよ」って言われる。 プリティー:「おじちゃんはこの店のオーナーなの?」 GM:オーナー? オーナーっていう言葉や認識がこの世界にあるのかどうか……。 プリティー:じゃあ、マスター。 GM:ああ、そうだね、マスターだね。「常連客たちからは『親父さん』と呼ばれとるんだよ」 カリス:髭のマスターっすね。 GM:そうだね。(プリティーに)「今日はここでゆっくり休んでいくといいよ。ご飯もおじちゃんが作ってあげるし、寝床も用意してあげよう。腕によりをかけてごちそうを準備するからね」 カリス:おやっさん、いい人っすーーー(泣)。オイラもこの店でお世話になりたいっす。(カリスは金がない) プリティー:「ありがとうおじさーん」 ピエロ:こいつ、オヤジキラーだ。 プリティー:あらー? なんか負け犬さんも偶然このお店に来てるのかしらー?? ピエロ:うっ……うう……(泣)。なんか、失意の酒を飲んでたら、俺を失意のどん底に突き落とした当の本人が、後から酒場に入ってきたー。 一同笑。 こうして、プレイヤーキャラクターたちはさまざまな事情……というかいい加減な理由付けにより、砂糖に群がる……というか硼酸団子? に群がる蟻のごとく、ぞろぞろと「赤ひつじ亭」の中にその身を投じていったのであった……。 |